HIV糖蛋白gp120によるアロディニアのメカニズム HIV糖蛋白gp120をマウス脊髄腔内に投与し、軽い触覚刺激を加えると、非常に強い痛み様反応(アロディニア)が出現した。gp120で脊髄後角細胞を刺激すると、細胞内Ca濃度が上昇した。gp120によるアロディニアとgp120による脊髄後角細胞内Ca濃度を指標にプロスタグランジンEP3受容体欠損マウスを用いて実験を行った結果、gp120によるアロディニアは脊髄のプロスタグランジンEP3受容体とオピオイドκ受容体が活性化されることにより、脊髄後角細胞内Ca濃度が上昇してアロディニアが出現することが明らかになった。 アロディニアにおける脊髄でのPGF2αの役割 PGF2αをマウス脊髄腔内に投与し、軽い触覚刺激を加えるとアロディニアが出現する。脊髄にはPGF受容体(FP)mRNAは構成型として存在する。PGF2αで脊髄後角を刺激すると脊髄後角の深い層の細胞内Ca濃度が上昇した。マウス脊髄腔内にFPmRNAアンチセンスを投与するとPGF2αによるアロディニアとFPmRNAは消失し、PGF2αによる刺激に対して反応する細胞数は減少した。このことにより、脊髄後角にあるFPの発現している細胞でPGF2αがアロディニアを引き起こすことが明らかになった。
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