研究概要 |
1)腎移植後定期的移植腎生検による標本・採取 過去3年に当院で行った腎移植19例中17例において移植後1,6,12カ月後に定期的移植腎生検を行った。移植腎生検は18Gx22mm針で行い通常の病理診断用病理組織診断標本用に2本採取。加えて組織片内遺伝子解析のための組織を1本採取し液体窒素で凍結し保存を行った。なお、組織採取と組織片内遺伝子解析については患者に充分説明し書面で同意を得てから行った。 2)移植腎内遺伝子発現を検討 移植腎生検標本をBanff分類による病理組織診断よって急性拒絶反応、慢性拒絶反応及び正常のgroupに分け、凍結保存した標本からTrizolにてtotal RNAを抽出。一本の針生検標本から1〜10μgのtotal RNAが取れたことが確認されている。また、今後検討する移植片組織内ケモカイン及びレニン・アンジオテンシン系遺伝子を検討するためにRT-PCR法で検討可能な質のmRNAが含まれているかどうかをβ-Actinの発現の検討を行った。その結果、設備備品として購入したイメージングシステムでβ-Actinの充分な発現を認めていることから今後RT-PCRによる移植片組織内遺伝子検討が可能なRNAが抽出されていることが確認されている。 3)患者血清内アンジオテンシン変換酵素(ACE)活性の検討 移植片組織内レニン・アンジオテンシン系遺伝子発現の検討に先立ち患者血清内ACE活性の変化を検討。定期移植腎生検で慢性拒絶反応の所見が認められる以前より患者血清内ACE活性が上昇していることが確認されている。
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