研究概要 |
1・)移植腎内遺伝子発現の検討 移植腎生検標本をBanff分類による病理組織診断よって急性拒絶反応、慢性拒絶反応及び正常のgroupに分け、凍結保存した標本からTrizolにてtotal RNAを抽出。移植片組織内ケモカイン遺伝子としてまず、Mig(monokine induced by γ interferon)及びTNF-αの発現をRT-PCR法で検討を行った。その結果、急性拒絶反応時の移植腎生検標本の一部にTNF-αの発現を認めているもののMigの発現は認めていない。 2・)腎移植患者尿中脱落細胞内ケモカイン遺伝子の発現 移植片内のケモカイン遺伝子発現と併行して腎移植患者尿中脱落細胞内ケモカイン遺伝子の発現を検討したところ、脱落細胞内ケモカインのRANTES, MCP-1, MIP-1α, MIP-1βの発現を急性拒絶反応時に認め、同遺伝子発現は非拒絶時や正常人では認めていない。また、尿中脱落細胞内Mig及びIP-10遺伝子の発現を拒絶反応中の一部に認めているがその意義については検討中である。以上の結果を2003年アメリカ移植学会(ATC)において発表予定である。 3)患者血清内アンジオテンシン変換酵素(ACE)活性の検討 移植片組織内レニン・アンジオテンシン系遺伝子発現の検討に先立ち患者血清内ACE活性の変化を検討。定期移植腎生検にて慢性移植腎症(従来の慢性拒絶反応)の所見が認められる以前より患者血清内ACE活性が上昇していることが確認され、慢性移植腎症における組織変化とACE活性の関連性が示唆されている。現在、投稿中である。
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