研究概要 |
[目的]転移を有するような進行腎癌の治療は困難で現在IFN-α等のサイトカイン療法が行われる事が多い。しかしその有効率は10-20%で、副作用も報告されることから、有効例を予測することが求められる。本研究ではテーラーメイド治療を目標に、マイクロアレイを用いた遺伝子解析によりIFN-αの感受性を基礎的に検討する。 [対象と方法]対象はIFN-αのin vitro感受性を検討したSKRC腎癌細胞株6株(以下、感受性株、耐性株)で、アレイは既知癌関連遺伝子を含む3,840クローンをStanford方式スポッター(日本レーザー電子)を用い、ナイロンフィルター上にスポットし作製した。発現解析はサンプルのtotal RNAを逆転写反応下に^<33>Pによりラベルし、フィルター上にハイブリダイゼーション、シグナルを画像解析した。解析は感受性株と耐性株の各群内で75%以上に共通に増減し、かつ群間で発現差の見られる遺伝子を抽出し、クラスター解析による分類を試みた。また2倍以上の発現差のある遺伝子についてさらに検討を加えた。 [結果]SKRC株感受性株と耐性株の間で1,401遺伝子が異なる発現を呈し、これらの遺伝子によるクラスター解析により、IFN-αの感受性を分類可能であった。また2倍以上の発現差は増減各々5遺伝子、計10遺伝子が抽出された。それらの中で、IRF4の発現をRNAレベルで検討したところ細胞株の感受性低下と発現低下が相関していた。 [考察と結論]マクロアレイ発現分析により腎癌細胞株におけるin vitroのIFN-α感受性を推測できることが示唆された。今後、遺伝子数を拡大したアレイによるより詳細な検討と、腎癌切除サンプルにおける解析とIFN-αの臨床上の感受性の検討が必要と考えられる。
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