Mycoplasma genitaliumが男子非淋菌・非クラミジア性尿道炎の起炎菌の1つであるが、M.genitaliumは非クラミジア性尿道炎の約20%から検出されるのにすぎず、さらに他の病原微生物の存在が示唆される。そこで、まずヒトから分離されるマイコプラズマおよびウレアプラズマの15菌種の16s rRNA遺伝子に共通するプライマーを用いたPCR法にてDNA断片を増幅させ、そのDNA断片の塩基配列を決定することにより、尿道炎患者の尿道から検出されるマイコプラズマおよびウレアプラズマを特定した。その結果、尿道炎患者の尿道からは、M.genitalium、Mycoplasma hominis、Ureaplasma urealyticumおよびUreaplasma parvumが検出され、尿道炎のない男子尿道からも同様の菌種が検出されたが、M.genitaliumのみが尿道炎患者において有意差を持って高頻度に検出された。また、今年度は、これら尿道炎炎患者から検出されるマイコプラズマおよびウレアプラズマを含め尿道炎およびSTDの原因とあり得る淋菌などの細菌、human papilloma virusなどのウィールス、トリコモナスなどの原虫のDNAをPCR法にで増幅し、得られたPCR産物をクローニングし、大量のDNAを作成した。現在、男子尿道炎診断およびSTD診断システムの開発のために、これらDNAをスライドグラス上に整列させ、DNAチップを作成中である。
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