研究課題/領域番号 |
13671644
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
泌尿器科学
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
高橋 義人 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (20226905)
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研究分担者 |
江原 英俊 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (20252132)
出口 隆 岐阜大学, 医学部, 教授 (40163935)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | 前立腺癌 / リンパ節転移 / 分子診断法 / Rt-PCR法 |
研究概要 |
最近急激に症例が増加している前立腺癌に対して、現時点で最も有効な治療法は、癌組織の摘出、つまり手術療法である。しかし、手術療法によって完全摘除がなされたと判断された後も再発や転移を起こす症例をしばしば経験する。これらの再発転移は、現在の優れた画像診断法でも診断困難なほど微少なリンパ節転移の存在や、血液中の遊離前立腺癌細胞により惹起されていると考えている。 実際の臨床に治療現場においては、低侵襲の腹腔鏡を用いて所属リンパ節切除を行い、術中迅速診断によって病理組織学的に癌の転移がないことを確認し、根治性の期待できる症例に対して前立腺全摘除術を行っている。しかしながら、我々は、術中迅速の病理組織学的検査で局所限局前立腺癌と診断された症例においても、微小リンパ節転移が認められることを、RT-PCR法を用いたPSAmRNAの検出により確認した。同様に、骨髄血液中にも遊離前立腺癌細胞が存在すること確認した。 RT-PCR法は、反応開始から結果判定までに時間がかかり、現時点では迅速診断にはそぐわないものである。現在、より反応時間が短くて、迅速診断に有用な分子生物学的検査法を検討中である。 一方、前立腺組織以外にPSAを検出した症例でも、長い経過をみても再発転移に至らないものもある。また、組織学的に前立腺肥大症である症例においても、血液中に、PSMmRNAを認めることも確認できている。RT-PCR法が定性検査であるための検査としての限界であり、臨床的に有意の遊離癌細胞、微小リンパ節転移と判定するためには、RT-PCR法の定量性が必要と考えられている。現在、前立腺癌の進行に伴い、血液中のPSMmRNA検出遊離細胞数が増加することまでは確認しており、より反応時間の短い、特異性の高い、そして定量性を有した検査法を開発検討中である。キャピラリー内でのPCR法が開発され、30分で増幅反応を終えることが可能となってきており、術中迅速診断への応用が検討可能となってきており、また、定量性については、二本鎖DNAに特異的に結合する蛍光色素SyberGreenIを用いたReal Time Monitoring Quantitative PCR System (LightCycler System)を用い、基礎的検討として前立腺癌細胞を定量的に検出することが可能となってきた。今後、定量的な癌細胞検出が微小転移の臨床的意義の解明に役立つものと考えられた。
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