研究概要 |
長期移植腎生着を可能とする免疫状態を明らかにする目的で平成14年度には腎移植患者のco-stimulatory signalについて以下の研究を行った。 1,長期移植腎生着患者にみられたCD28陰性CD4陽性T細胞の機能、特異性を明らかにする目的でマーカーCD25,CD69,V alpha24,CTLA-4の検索,長期移植腎生着患者とdonor, third partyとのMLC反応,RT-PCR, Southern blotting, ELISA法でT cell receptorのV beta鎖repertoire, 及びINF-gammer, TGF-beta, IL-4,IL-10を検索した。CD28陰性CD4陽性T細胞にはCD25,CD69,V alpha24,CTLA-4は表されておらず、これまでにサプレッサーとして働く細胞と異なっていた。MLC反応からはドナー特異的抑制が観察された。T cell receptorのV beta鎖repertoireの分析では明らかな偏りがみられ、特異的な抗原を認識している可能性が示唆された。INF-gammer, TGF-betaの発現の亢進が、しかしIL4,IL-10の発現は認められなかった。 2,腎移植患者74例の末梢血CD28陰性CD4陽性T細胞の出現頻度と移植腎予後のプロスペクテブな3年間にわたる検討からは慢性拒絶反応合併例でCD28陰性CD4陽性T細胞が少ない傾向が観察された。 以上の結果より、このCD28陰性CD4陽性T細胞が特定の抗原、すなわちdonor抗原からの持続的な刺激を受けて生じ、サプレッサーとして働くことよりdonor特異的免疫抑制を行っている可能性が示唆された。
|