研究概要 |
膀胱癌における抗癌剤多剤耐性獲得機構におけるカベオリンの関与を解明するため。抗癌剤耐性を示す膀胱癌培養細胞株を用いてカベオリンならびに多剤耐性因子(MDR, MRP)の発現を蛋白ならびに遺伝子のレベルで検出し解析する。抗癌剤添加による各因子の発現と抗癌剤に対する感受性の経時的変化を解析した。 ヒト膀胱癌細胞株であるT-24,KK-47とアドリアマイシンに耐性を示すそれぞれの膀胱癌細胞株T-24/ADM, KK-47/ADMを用いてウェスタンブロット法を用いてカベオリンならびに多剤耐性因子(MDR, MRP)の発現を検出するとともに、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いてカベオリンガ裏打ちタンパクである細胞膜陥凹であるカベオラの形態学的な変化を解析した。 その結果、T-24においてはカベオリンの発現はアドリアマイシン耐性化に伴い減弱したのに対して、KK-47においては耐性化に伴い発現が増強した。またTEM上単位細胞膜長あたりのカベオラ数の増減はタンパクの発現パターンと一致していた。 MDRはKK-47/ADMにおいて発現し、MPRはT-24/ADM, KK-47/ADMにおいて発現していた。すなわちアドリアマイシンに対する耐性獲得の経過におけるカベオリンの発現はMDRの発現と平行しているものの、MRPの発現とは連関していないことが明らかとなった。
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