研究概要 |
A/Jマウスにおいてネンブタール麻酔を行い,左側精巣・精巣上体・精索を露出させ,精巣を360度および720度捻転させ,様々な時期(30分〜5時間後)に血流再開させた.720度で1時間以上に渡って捻転させていたものは,著しい精上皮破壊が認められるが,炎症細胞の浸潤が認められなかった.しかし,360度回転で30分〜1時間捻転させたものでは,精上皮破壊に加え多核白血球の激しい浸潤が間質に認められた.それらのマウスに抗酸化ビタミン剤を投与すると精子形成障害は有意に抑えられた.抗精子抗体および抗精子遅延型過敏反応は,炎症細胞が精巣内へ浸潤する条件のマウスにおいて若干ではあるが有意な上昇が認められた.免疫抑制剤の効果は捻転側精巣の組織障害には影響はなかった.捻転修復後の長期に渡る観察を現在継続中であるが,反対側精巣への炎症細胞浸潤は今のところ観察されていない.また精巣抗原漏出の免疫組織学的検索では,凍結切片でなくパラフィン切片を用いた方が良好な結果が得られた.精巣上体に被さる脂肪体およびその中を走るリンパ管に多く精子抗原が認められた.今後は精巣に炎症細胞が浸潤する捻転・捻転修復の条件下で,マウスよりリンパ球を採取し,反対側精巣に注入していく実験を進める予定である.
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