研究概要 |
【要約】研究の最終段階として、膀胱癌の浸潤と血管新生をin vitro上で再現し、各種膀胱癌細胞株の血管増生因子との相関を調べた。 【実験方法・経過】昨年度から引き続き、ヒト血管内皮細胞株であるHUVEC、LME、MVEをコラーゲンゲルに包埋した三次元再構築培養を行ったが、いずれも正常細胞なので増殖率が低く、in vitro上で血管新生を再現することは不可能であった。そこで、1.新生血管を組織学的に調べる目的として、三次元培養で形成した膀胱癌上皮シートをラットで膀胱拡大術の方法で移植した。ラット膀胱を酵素処理で無細胞化し(acellular matrix)、この上でヒト膀胱癌株(HT-1197,RT-4,T24,EJ, UMUC3)細胞とコラーゲンゲルによる再構築人工膀胱シートを作成した。移植7日目、14日目に組織学的検討を行い、免疫組織化学染色で各細胞の同定を行った。 2.癌細胞株による浸潤性の有無が、血管内皮細胞増殖因子の分泌能と関連があるかどうか調べる目的で、各膀胱癌細胞VEGF分泌量、基底膜の破壊酵素であるurokinase plasminogen activator分泌量を測定した。また、各癌細胞蛋白中のHif-1α、thymidine phosphorylaseの発現をWestern blotting法で同定した。 【結果】移植7日目では、癌細胞の生着が不良であったが、線維芽細胞は生着していた。現在、移植14日目での検討を行っている。 【平成15年度の予定】引き続き、移植実験を行い癌細胞の浸潤、血管新生を組織学的に検討して、サイトケラチン、CD34、などの抗体を用いた免疫染色を行う。
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