研究概要 |
昨年度作成した実験的ラット閉塞膀胱モデルの排尿パターンの解析を,24時間排尿記録(Frequency Volume Chart)により引き続き検討した.その結果閉塞作成後6週で,ラットの睡眠期のみに1回排尿量が減少し排尿回数が増加する排尿パターンの変化を認め,ヒトの夜間頻尿を模倣する動物実験モデルとして確立することができた.またこれらのラットにおいて,ウレタン麻酔下にPressure Flow Study(PFS)を施行し,sham群と比べhigh pressure, low flowであることを確認した.さらにまた摘出膀胱湿重量がsham群と比べ閉塞膀胱ラットでは有意に増加していることも確認できた.したがって,われわれの作成した夜間頻尿モデルは明らかにpartial bladder outlet obstructionを有することが確認された.すなわち臨床的BPHに随伴する夜間頻尿のモデルを確立したと考えられる. 昨年度は正常ラットに睡眠薬などの時間生物薬を投与し,睡眠期排尿パターンの変化を検討したが,本年度は前述したラット夜間頻尿モデルに酒石酸ゾルピデムや抗コリン剤などの投与を試みている.これらについては現在のところ実験を継続中で結果を示すに至っていない.さらにまた,夜間多尿による夜間頻尿の病態をラットで実現すべく,明期に入る約3時間前に飲水をsucrose入りのtap waterに変更し睡眠期のラットに利尿をつけた.結果は正常ラットも閉塞膀胱ラットもともに睡眠期の排尿回数が有意に増加した.しかし,正常ラットにおいては1回排尿量の増加も伴い,排尿回数の増加は閉塞膀胱ラットのそれよりも抑えられていた.すなわち閉塞に伴う蓄尿障害の合併は夜間多尿に伴う夜間頻尿の増悪因子と考えられる.
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