1)精原細胞移植による宿主マウスの妊孕化の試み 未成熟マウス(8-20日齢)精巣内の自己生殖細胞を除去するためまず局所放射線照射を行い、その後にドナーマウスの精巣細胞を注入移植した。精子形成の広がりを1-2ヶ月後に検討した結果、宿主精巣の広い範囲でドナーマウスの精子形成が観察された。さらに雌マウスと自然交配させ宿主マウスがドナー由来の妊孕性をもつことも確認された。成熟マウスを宿主とした場合は移植後に妊孕性を獲得することは非常に稀であることから未成熟マウス精巣内において精原幹細胞が急激に増殖することが示された。 2)GnRH analogueの精原細胞に対する増殖促進効果 移植後早期のドナー精原細胞の増殖状態を共焦点レーザー顕微鏡を用いて検討した。GnRH analogue投与群では精原細胞密度が高く、増殖が促進、もしくはアポトーシスが抑制されていることが推測された。またSl/Sl^dマウスを宿主に用いた結果から、SCFはこの効果に関与していないことが明らかとなった。 3)精原幹細胞の培養 GFPマウス精巣から採取した細胞を一定期間(2〜3週間)培養後に回収し、未成熟マウス精巣内に移植して精原幹細胞の有無を検討した。培養条件はfeeder cell (STO細胞、15P-1細胞)を用いたもの、ラミニンやコラーゲンがcoatingしてある培養ディシュを用いたもの、基底膜器質であるマトリゲルマトリックスを用いたもの、等の試みを行った。これまでの結果からはマトリゲルマトリックス上で培養した精巣細胞に精原幹細胞が残存していることが確認された。
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