研究課題
プロスタグランジン(PG)が発癌に関連する可能性が示唆されており、PG合成酵素であるcyclooxygenase(COX)も腫瘍発生に関与し、NSAIDsがそれを抑制することにより抗腫瘍活性を示す可能性があることが報告されている。CoxにはアイソザイムとしてCOX-1、COX-2がある。大腸癌におけるCOXの発現レベルの検討では、COX-1は癌と正常粘膜で差は認められず、COX-2の発現は大腸癌において有意に亢進していた。他の癌細胞でも、COX-2の発現が亢進していた報告されている。私たちは前立腺全摘術を施行した組織よりCOX-2の発現を免疫組織染色により確認した。この結果に基ずき、前立腺癌細胞株であるLnCap、PC-3、DU-145を用いてCOX-2による細胞増殖抑制効果を検討すると濃度依存性に増殖を抑制していた。さらに膀胱癌細胞株にても同様の結果が得られた。また膀胱癌細胞株にて5-FUやアドリアマイシンなどとの相乗効果を検討した結果、5-FUとの相乗効果が認められた。今後、COX-2の発現をRT-PCR法などで検討し、COX-2 inhibitorが前立腺癌の発癌予防に有効であるかどうか、また抗腫瘍効果を有するかどうかを検討する。