研究概要 |
2-amino-4,5-diphenylthiazole(DPT)を飼料中に1%混合して継続投与することによって、ラットで嚢胞腎が誘発される。前年度までに、このモデルの腎において早期に発現が変化する遺伝子をdifferential display(DD)法にて検索し、硫酸転移酵素sulfotransferaseのひとつSULT1C2のmRNAの発現がDPT投与によって低下することを見出し、さらにSULT1C2遺伝子を大腸菌で発現させ、リコンビナント蛋白を生成した。 このリコンビナントSULT1C2-Hisを用い、硫酸転移酵素としての性質を調べたところ、[^<35>S]PAPSを硫酸基供与体として、pP-ニトロフェノール、ドーパミン、2-ナフトールおよびDPTのうちではp-ニトロフェノールだけを基質(硫酸基受入体)として硫酸転移活性を示した。しかし、親和性が低く(km=3.1mM)生体内での本来の基質でない可能性がある。ここまでの成果はKidney Int 62:757(2002)にて発表している。生体内での生理的基質および機能は明らかではないが、SULT1C2は細胞膜や基底膜の構成成分プロテオグリカン等の硫酸基付加に関わっている可能性が考えられる。
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