研究概要 |
ラット前立腺ライブラリーよりアンドロゲンレセプター(AR)関連遺伝子を探索中にヒトSRAと78.2%の塩基配列の相同性をもったcDNAを得た。SRAは蛋白に翻訳されずRNAとしてステロイドレセプターによる転写を促進する共役因子として報告されたが、我々がクローニングしたcDNAはORFやKozakの配列を含む開始コドンを有しており、その蛋白(SRAPと命名した)としての機能につき検討した。まず、SRAPの共発現によりAR, GR, PPARγの活性がリガンド依存性に上昇した。GST pull-down assayによりARのAF2+DBDとSRAPの結合をin vitroで示すと共に、mammalian two-hybrid assayを用いてARのAF2+DBDとSRAPの結合をin vivoで示した。GFPとSRAPの融合蛋白はHeLa細胞でin vivo translationされこのfusion proteinのcDNAに変異を導入すると共役因子としての活性が消失した。これらの事によりSRAPはSRAとはことなり蛋白として機能する新しい核内レセプター共役因子であることが示された。更にSRAPをHeLa cellや前立腺癌細胞に導入するとアンチアンドロゲンであるflutamide存在下でもAR活性は維持された。これらの事より、SRAPはステロイドレセプター共役因子蛋白でありARの活性化にかかわっている。
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