NK細胞は腫瘍細胞やウイルス感染細胞に対して強い細胞傷害性を示す事が知られているが、近年移植免疫に関しても大きな役割を担っている事が考えられている。本研究期間においては、急性拒絶反応および急性促進拒絶反応におけるNK細胞の役割について研究をしている。すなわちNK細胞は直接細胞に対し活動するのか、あるいはMHCの蛋白と関係するような特殊なアロ抗原の存在を必要とするのか、またあるいは何らかの液性因子により活性化されるのかを以下のモデルで検討している。 B6マウスを妊娠させ、妊娠14日目に胎児を取り出し、肝臓切除する。集めた肝臓より肝細胞を抽出する。この肝細胞はほとんど全てが幹細胞であり、使用するFLSCとする。 NK細胞は6-8週のBalb/cマウスの脾臓よりセルソーターを用いて採取する。 NOD-SCIDマウスを用いて次下のグループを作成する。 1;NOD-SCIDマウスにB6マウスのFLSCを移植したグループ 2;NOD-SCIDにB6マウスFLSC及びBalb/cマウス活性化NK細胞を移植したグループ 3;NOD-SCIDにB6マウスFLSC及びBalb/cマウス活性化NK細胞を移植したグループ ただしこのBalb/c NK細胞はIL12、IL18と培養し活性化したNK細胞 4;NOD-SCIDにB6マウスFLSC及びBalb/cマウス血清を移植したグループ ただしこのBalb/c血清はIL12、IL18と培養し活性化したNK細胞のsupernatantを用いる これらの4群のキメリズムを3ヶ月以上にわたってフローサイトメトリーを用い観察している。グループ1ではB6マウスの幹細胞により完全な再構築、キメリズムが起こった。グループ2.3.4については未知であり、この結果によりNK細胞がどういった状況で反応するかを現在検討中である。 期待される結果としては、4群においては1群と同様に完全な再構築がなされ、2群においては一時的再構築にむかい、やがて俯瞰線名状態でのキメリズムがおき、さらに3群では2群以下全くキメリズムがおきない事が考えられる。
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