研究概要 |
目的 マクロファージが活性化されエフェクター細胞として移植臓器に浸潤し障害をきたす過程をあきらかにすることを目的とした。 研究計画にそった研究の実施とその成果 平成13年度:ヒト腎移植慢性拒絶反応症例の移植腎浸潤マクロファージ上に発現されるβ2インテグリン接着分子小ケモカイン受容体、GPI関連受容体の同定。 (1)ヒト移植腎生検において、CD5陽性細胞(T細胞+活性化B細胞、あるいはB/macrophage biphenotypic cell)、接着分子CD11b陽性細胞、ケモカインレセプター陽性細胞CCR3,CCR5、CD68陽性マクロファージが検出された。それらは、おもに、尿細管間質に浸潤発現を示した。 (2)18検体を、5種類の陽性細胞のうち、CD5陽性細胞とCD11b陽性細胞の表現型から3種に分類した。 Group I(n=9):CD5+CD11b+with CCR3+-CCR5+-and CD68+ Group II(n=5):CD5+CD11b-with CCR3+-CCR5+-and CD68+- Group III(n=4):CD5-CD11b-with CCR3+00R5+-and CD68+- (3)移植腎機能障害(CGD)を理由に施行された移植腎生検組織7例はすべてCD5+CDnb+を含むGroup Iに属した(7/9)。一方、CD68陽性マクロファージについて分類するとCGDの割合は7/13であり、CGDを呈する移植腎組織にはCD5+CD11b+>CD68の傾向が観察された。急性拒絶反応で可逆性であった3例はすべてCD68陽性細胞を含み、Group II, Group IIIであった。non-episode Bxでは、S-Cr0.8mg/dlの2例(2/7)はGroup IIIであり、他はGroup I(2/7),Group II(3/7)であった。 以上より、CGDの症例にCD11b陽性細胞がすべて認められ、CD5陽性細胞より有意な所見を示した。このCD11b陽性細胞は、マクロファージ、あるいはCD5+B細胞、NK細胞の可能性があり、CD11b陽性細胞の産生制御が慢性移植腎機能障害の予防に繋がる可能性が示唆された。
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