研究概要 |
我々は腎細胞癌の90%に発現している癌関連抗原洲/CA9の抗原ペプチドを合成し、腫瘍ワクチンとしての有用性についてマウス腎癌モデルを用いて報告してきた。今回、これらペプチドを用いた腎細胞癌に対する特異的免疫療法の有用性に関して、腎癌腎細胞癌担癌患者リンパ球を用いてMN抗原ペプチドの抗原特異的CTLの誘導能について検討した。 【方法】HLA-A2402陽性腎癌担癌患者で原発巣がMN/CA9抗原陽性の症例を対象とした。末梢血由来単核球を分離し、GM-CSF, IL-4環境下で樹状細胞に分化させ、MN/CA9 p219-227,p288-296,p323-331の3種のペプチドでパルスした樹状細胞で患者リンパ球を刺激し、抗原ペプチド特異的反応性を有するCTL前駆細胞誘導の有無について、テトラマー法およびELISA法を用いて検討した。 【結果】MN陽性腎癌担癌患者において非担癌患者に比べ有意にMN特異的CTL前駆細胞の存在が示唆された。また、ペプチドload DC MN/CA9抗原ペプチドの抗原刺激の内、MN/CA9 p219-227,p288-296を用いた場合に、MN抗原に反応性を有するリンパ球の誘導が確認できた。 【考察】自己樹状細胞とMN抗原ペプチドを用いることで、MN抗原特異的なCTL前駆細胞の誘導が可能と思われた。今後、これらの抗原ペプチドを用いた特異的免疫療法の臨休応用が期待される。
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