研究課題/領域番号 |
13671671
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
植村 天受 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (90213397)
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研究分担者 |
吉川 和宏 愛知医科大学, 医学部, 講師 (60109759)
角田 卓也 東京大学, 医科学研究所, 講師 (30275359)
趙 順規 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (90285362)
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キーワード | 腎細胞癌 / MN / CAIX / 抗原ペプチド / 癌ワクチン |
研究概要 |
われわれは腎細胞癌の90%に発現している癌関連抗原MN/CA9のHLA-A24拘束性9mer抗原ペプチドを合成し、腫瘍ワクチンとしての有用性についてBALB/cマウス腎癌モデルを用いて特異的CTL誘導を報告した。また、これらペプチドを用いた特異的免疫療法の有用性に関して、腎細胞癌担癌患者リンパ球を用いたMN/CA9抗原ペプチドの抗原特異的CTLの誘導能については、ペプチド刺激したHLA-A2402陽性患者の自己樹状細胞を用いることで、抗原特異的なCTL前駆細胞の誘導が可能であった。 これらの結果に基づいて、平成14年7月より、高度進行腎細胞癌患者を対象として、MN/CA9 P219-227,P288-296,P323-331の3種のペプチドを用いた癌ワクチン療法の第I相試験を開始した。今回の目的は第一にこれらペプチドワクチンの安全性であるが、宿主に対する免疫原性についても検討した。これまでのところ、6名が本試験を終了したが、grade II以上の重篤な有害事象はなく、3種のペプチドワクチンは安全であると思われる。患者末梢血を用いた免疫反応性の検討では、ワクチン6回投与後より2種類のペプチドに特異的なCTL前駆細胞が検出され、一部の患者ではペプチドに対するIgG抗体の誘導も認められた。これらの結果から基本的に少なくとも2種類のペプチドワクチンは、抗原特異的な免疫反応を惹起し、臨床的に期待される。 今後、これらの抗原ペプチドを改変することで、その抗原性・親和性を増加させ、より強い特異的免疫反応を誘導するべく研究中である。
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