研究概要 |
動物は、8〜10週齢の雌性BALB/cマウスを、腫瘍は同系マウスの腎被膜下で継代維持しているマウス腎癌・Renca細胞を用いた。大蒜抹(日本冷凍工業)は、セレン含有量41.0/mgである。マウス皮下および腎被膜下に5×10^5細胞を移植、移植翌日より各用量の大蒜抹混濁液および生食(対照)を隔日経口投与し、腫瘍増殖効果と体重変化を検討した。また、腫瘍移植後21日目のアポトーシス細胞をTUNEL法による組織学的およびRT-PCRによるBAXmRNA発現として検討した。 Renca皮下移植系において、大蒜抹は用量依存的に腫瘍容積の増加を抑制した(各群n=10,P<0.05)(各投与量腫瘍移植後21日目の腫瘍容積;20mg:122mm^3,10mg:268mm^3,対照:435mm^3)。同腫瘍の腎被膜下移植系においても、大蒜抹は用量依存的に腫瘍重量の増加を抑制した(各群n=10,P<0.05)(各投与量腫瘍移植後21日目の腫瘍重量;10mg:1.1g,5mg:1.2g,2mg:1.5g,対照:2.7g)。大蒜抹の投与は、これらの用量でマウス体重の変動に影響を与えなかった。また、腫瘍移植後21日目の腫瘍組織において、10mgおよび5mg大蒜抹投与によりTUNEL陽性細胞が誘導された(各群n=5,P<0.05)(各投与量腫瘍移植後21日目の1000腫瘍細胞に対するTUNEL陽性細胞数;10mg:2.8,5mg:2.0,2mg:0.6,対照:0.8)。さらに、腫瘍移植後21日目の腫瘍組織において、10mgおよび5mg大蒜抹投与によりBAXmRNAの著名な発現が認められた。 以上の結果より,大蒜抹は、マウス腎癌・Rencaに対し抗腫瘍効果を示し、この効果にアポトーシスの関与を明らかにした。さらに、腎癌のラット発癌モデルにおいて大蒜抹の発癌予防効果を検討中である。
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