本研究では、個別化治療の基盤確立を目的としてシチジンデアミナーゼ(CDD)に注目し、GemcitabineおよびCapecitabine感受性におけるシチジンデアミナーゼの役割を、シチジンデアミナーゼ遺伝子導入細胞を用いて明らかにした。Human CDD cDNAをpcDNA3.1/hygro(+)に組み込み、膀胱癌細胞株T24にpcDNA3.1/hygro(+)あるいはpcDNA3.1/hygro(+)/CDDをリポフェクチン法によってトランスフェクトし、CDD cDNA導入T24クローンを樹立した。ヌードマウスに、mock cloneであるT24-C2、wild T24あるいはCDD高発現クローンであるT24-21を皮下移植し、倍加時間測定あるいは組織学的検査を行ったが、細胞間での有意差は認められなかった。そこで、担癌ヌードマウスにGemcitabineあるいはCapecitabineを投与し、経時的に腫瘍径を測定した。T24-C2とwild T24とT24-21との間に、腫瘍成長速度に有意差は認められなかった。T24-C2とwild T24では、コントロール群に比べGemcitabine投与群で有意な抗腫瘍効果が認められた。しかし、T24-21では、コントロール群とGemcitabine投与群との間に有意な抗腫瘍効果の差は認められなかった。一方、T24-C2とwild T24では、コントロール群とCapecitabine投与群との間に有意な抗腫瘍効果の差は認められなかった。しかし、T24-21では、コントロール群に比べCapecitabine投与群で有意な抗腫瘍効果が認められた。がん細胞におけるCDD高発現によるGemcitabine耐性およびCapecitabine感受性亢進がin vivoでも観察された。
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