【目的】本研究は、SQUID磁束計を用いて胎児心磁図波形の解析し、R-R間隔による胎児心拍数変動の解析を行い、胎児健康状態の評価指標の基礎資料を検討するものである。 【方法】研究の趣旨に同意した妊婦に対し、磁気シールドルーム内で心磁図を計測した。液体ヘリウムを充填したSQUID(超伝導量子干渉計)センサーを用い、サンプリング周波数1000Hzで1回あたり2分間の信号記録をした。 心拍数変動の周波数解析は、(1)R波の明瞭なチャンネルを選定し、R-R間隔を1ミリ秒の単位で計測し、心拍数時系列データを作成、(2)この不等間隔の時系列データを、直線補間で200ミリ秒の等間隔時系列データに再サンプリング、(3)この等間隔時系列データに対して周波数解析、の手順で行う。 【平成13年度までの成績】研究の趣旨に同意した妊婦のべ185名分の記録に加えて、本年度は更に胎児不整脈症例や先天性心疾患症例等を中心に32名の妊婦に対して心磁計測を行った。 これまでのFFT法での成績では、resting phaseを示した例では、低周波領域(LF : 0.04-0.15Hz、交感神経優位)、高周波領域(HF:0.15-0.40Hz、副交感神経優位)とも明らかなピークを認めなかった一方、active phaseを示した例では、約90%でLF領域に、また、約36%ではHF領域にもパワーがみらている。 心磁図の計測精度を活かし、より高い周波数の特性を解析できるように、自己回帰スペクトル分析法(AR法)や最大エントロピー法(MEM法)、ウェーブレット変換(WT法)などについても解析を試み、胎児心拍数変動の周波数解析に適した解析方法について検討を加える予定である。
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