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2001 年度 実績報告書

動物モデルを用いたトキソプラズマの母子感染の機序の検討

研究課題

研究課題/領域番号 13671696
研究機関東京大学

研究代表者

小島 俊行  東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (90153535)

研究分担者 堤 治  東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (60134574)
キーワードトキソプラズマ / 母子感染 / 先天性トキソプラズマ症 / 動物実験モデル / タキゾイト / 小腸 / 子宮 / 卵巣
研究概要

1)小腸のトキソプラズマに対する感染抵抗性の妊娠による変化
(1)妊娠マウス(n=7)の小腸のparasitophorous vacuole数は非妊娠マウス(n=8)に比べ、3.1倍有意に高値であった(691±285(mean±S.D.以下同様)vs.225±133;p=0.0022)。
(2)小腸におけるトキソプラズマの感染状態は、びまん性ではなく炎症性フォーカスを作り散在性であった。妊娠マウス(n=7)の小腸の炎症性フォーカス数は非妊娠マウス(n=8)に比べ、3.7倍有意に高値であった(24.3±8.0 vs.6.8±1.5;p=0.0003)。
(3)そこでフォーカスあたりのparasitophorous vacuole数を計算した。妊娠マウス(n=7)と非妊娠マウス(n=8)のparasitophorous vacuole数/フォーカスは有意差を認めなかった(26.1±7.4 vs.18.4±7.0;p>0.05)。すなわち(1)妊娠マウスの小腸でのタキゾイトの増加は炎症性フォーカス数の増加によることが示された。
2)その他の臓器のトキソプラズマに対する感染抵抗性の妊娠による変化
(1)妊娠マウス(n=9)の子宮のparasitophorous vacuole数は非妊娠マウス(n=12)に比べ、34.3倍有意に高値であった(9.94±9.30 vs.0.29±0.75;p=0.0003, Mann-Whitney U-test)。
(2)妊娠マウス(n=6)の卵巣のparasitophorous vacuole数は6.1±11.3で、非妊娠マウス(n=10)は0であった(p=0.0014, Fisher's exact test)。
(3)トキソプラズマは経口的に感染すると、腸管から侵入し門脈を経て肝臓に到達し、次に血流を介し全身の臓器に播種する。すなわち、肺、心、子宮、卵巣は感染巣として同様の条件と考えられる。ところが妊娠マウス(n=7)の肺、心のparasitophorous vacuole数は非妊娠マウス(n=7)に比べ、それぞれ3.8倍、2.2倍で子宮に比し低値であった。
(2)妊娠により子宮は、他臓器に比べ特異的に著明にタキゾイトが集積する。
上記(1)、(2)のメカニズムにより、妊娠マウスではトキソプラズマに対する感染抵抗性が低下し、トキソプラズマの母子感染が生じやすくなることが示された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 小島俊行: "シンポジウムII血液・胎盤を介する母子感染症の最近の動向、6. トキソプラズマ"日本産科婦人科・新生児血液学会誌. 11(1). S28-S29 (2001)

  • [文献書誌] 小島俊行: "クリニカルカンファレンス 7. 周産期医療と児の中長期予後 1)母子感染"日本産科婦人科学会雑誌. 53(9). N285-N290 (2001)

  • [文献書誌] 小島俊行, 堤 治, 武谷雄二: "周産期医学必修知識 トキソプラズマ"周産期医学. 31巻増刊号. 89-92 (2001)

  • [文献書誌] 小島俊行, 堤 治, 武谷雄二: "トキソプラズマ感染におけるIgG抗体アビディティの有用性"産婦人科の世界. 54(2). 23-31 (2002)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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