研究課題/領域番号 |
13671700
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
坂本 秀一 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (90242198)
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研究分担者 |
久保田 俊郎 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (50126223)
東 洋 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (20134736)
麻生 武志 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (60093176)
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キーワード | ラット下肢潅流モデル / ラットの下肢潅流モデル / 内皮依存性脱分極因子(EDHF) / K^+ / 妊娠 |
研究概要 |
平成13年度は、妊娠ラットの下肢潅流モデルを作製し、末梢抵抗血管の妊娠各期の内皮依存性弛緩反応を検討したところ、妊娠後期に内皮依存性弛緩反応は増強しており、その増強は、一酸化窒素(NO)を介するものではなく、内皮依存性脱分極因子(EDHF)を介すると考えられた。しかし、内皮依存性脱分極因子(EDHF)はまだ同定されておらず、いくつかの候補が、挙げられている。そこで平成14年度は、妊娠ラットの下肢還流モデルを用い、実際に、内皮依存性脱分極因子(EDHF)の候補を検討した。その結果、Epoxyeicosatrienoic acid(EET)、H202、cannabinoidについてはラットの下肢還流モデルにおいて観察される内皮依存性脱分極囲子(EDHF)ではなく、他の因子が存在すると考えられた。そこで、平成15年度はその因子を追及した。その結果、低濃度のKC1(8〜16mM)は濃度依存性に弛緩をおこし、それはOuabain(Na+/K+ATPase阻害剤)で阻害された。CCh誘発弛緩も同様にOUBで阻害された。_<Ca>K^+channelの活性化剤であるEBIOは濃度依存性に弛緩を誘発し、高濃度のKClで脱分極させると弛綬反応は抑制された。これらの結果はラット後肢ではEDHFが関与する弛緩反応ではK^+が重要な役割りを担うことが示唆された。また、CCh誘発内皮依存性弛紹反応(EDR)の妊娠時における変化を検討した。EDRは妊娠後期に優位に増大しており、その成分は非妊娠時と変わらずEDHFが優位であった。 以上より、EDHFの作用には、K^+が重大な役割りを持っており、末梢抵抗血管におけるCCh誘発内皮依存性弛緩反応は主にEDHFによるものであった。妊娠期での検討では、CCh誘発内皮依存性弛緩反応はやはりEDHFによるもので、妊娠後期に増強していた。このEDHFによる内皮依存性反応が妊娠時の血圧維持に関わると考えられた。
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