研究課題/領域番号 |
13671704
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
平嶋 泰之 浜松医科大学, 医学部, 助手 (20324353)
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研究分担者 |
大井 豪一 浜松医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (10283368)
小林 浩 浜松医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (40178330)
金山 尚裕 浜松医科大学, 医学部, 教授 (70204550)
北村 公也 浜松医科大学, 医学部, 助手 (10332694)
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キーワード | metastasis / invasion / urinary trypsin inhibitor / bikunin / CD44 / urokinase type plasminogen activator / link protein |
研究概要 |
我々はヒト尿由来転移抑制物質bikunin : urinary trypsin inhibitor(UTI)の癌の浸潤転移抑制作用機序として、bikuninは癌細胞表面でplasmin活性を抑制するとともに、bikuninが癌細胞に結合するとシグナルが伝達され、PKCの膜への移動、MAP kinase proteinの燐酸化の抑制を介して、最終的に癌細胞のurokinase(uPA)発現が抑制されること報告してきた。平成13年度に発表した論文では以下の新しい作用機序が解明された。ヒト軟骨肉腫細胞の膜分画から分子量40kDaと45kDa(bikunin receptor:bik-R)の二つの結合蛋白が確認され、p40はアミノ酸配列、抗原性、分子量よりヒトlink protein(LP)に一致した。bikuninの細胞膜結合部位の検討ではbikunin分子内でChondroitin-4-sulfate(C4S)を含む側鎖の結合したAla1-Lys21残基かLys22-Arg77残基のどちらか一方のみ必要である。さらに結合蛋白との相互関係ではN末端側蛋白部分(Lys22-Arg77残基)がLPと結合し、もう一つのbik-Rに側鎖C4Sを介して結合するという2種類の結合様式を持っていることが判明した。また、bikuninが単に細胞表面に存在するためにはどちらか一方の結合で可能だが、癌の浸潤転移抑制のメカニズムの1つであるuPA発現抑制のシグナル調節のためには、これら二つの結合が必要であると考えられた。また、癌細胞にphorbol ester(PMA)添加すると細胞表面のCD44vのクロスリンクを介してuPAがmRNAおよび蛋白レベルで発現が上昇した。この系にbikuninが存在すると、bikuninはlink proteinと同時にbikunin-Rに結合し、両者の結合下にbikunin-Rが細胞表面のCD44vと結合する。これによりCD44v間のダイマー形成が阻害され、uPAの発現が抑制されると考えられた。
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