研究課題/領域番号 |
13671706
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉川 史隆 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (40224985)
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研究分担者 |
梶山 広明 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00345886)
柴田 清住 名古屋大学, 医学部附属病院, 助手 (90335026)
井箟 一彦 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (60303640)
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キーワード | 播種 / CD26 / 卵巣癌 / カドヘリン / 中皮細胞 |
研究概要 |
1 昨年までの研究からDPPIV遺伝子導入による卵巣癌細胞の浸潤、増殖抑制にはDPPIVの基質となりうるfactorが関与していると考えた。stromal derived factor 1α(SDF-1α)はDPPIVの基質となりうるため我々はSDF-1αに焦点を当てて研究した。SDF-1αを卵巣癌細胞株(SKOV3)に添加すると増殖、運動、浸潤の全てにおいて亢進が認められた。この作用はベクター遺伝子導入細胞(SKpcDNA)やDPPIV遺伝子導入細胞(SKDPIV)では認められなかった。従って、DPPIVの作用にはSDF-1αの分解が深く関わっていると考えられた。また、卵巣癌組織においてSDF-1αが発現していることも免疫組織染色にて確認した。 2 TGF-β1は濃度、時間依存性に上皮・間質転換をヒト腹膜中皮細胞に惹き起こす。この時、中皮細胞のDPPIVは発現量、酵素活性ともに減少し、運動能は逆に促進された。また、上皮・間質転換に伴って、SDF-1αのレセプターであるXΞXP4の発現増加が認められた。 3 卵巣癌細胞にもneutral endopeptidase(NEP/CD10)が存在していることを免疫組織染色で明らかにした。NEPの遺伝子導入卵巣癌細胞ではendothelin-1(ET-1)の細胞増殖促進作用や浸潤能が抑制されていた。また、この遺伝子導入細胞は抗癌剤であるパクリタキセルに対する感受性が増強されていた。その機序としてはアポトーシスの亢進、MMP-2やVEGFの発現減少が起因していると考えられた。
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