研究概要 |
子宮内膜症は生殖年齢女性のおよそ10%に発生し,疼痛と不妊を惹き起こしリプロダクティブヘルスを著しく損なう疾患として社会的にも問題となっている.私どもは,Interleikin-6(IL-6),IL-8,Tumor necrosis facgtor α(TNFα)等がサイトカインネットワークを形成し子宮内膜症の病態に関与することを初めて示唆した.本研究では,抗サイトカイン薬(抗TNFα抗体あるいは可溶性TNFα受容体)の子宮内膜症に対する効果についてマウス子宮内膜症モデルを作成して検討する. 本年度は,ヒト子宮内膜組織片移植によるマウス子宮内旗症モデルを確立し,子宮筋腫患者から採取した増殖期および分泌期の内膜症組織片の生着率を比較検討した.同意の得られた婦人科手術患者の摘出子宮から子宮内膜組織を分離した.およそ20gに達したヌードマウスを用いて,麻酔下に腹部に小切開を加え1mm以下の小片に細切した内膜組織片を移植した.組織が生着したか否かを,術後2および7日に再開腹して調べた.生着した組織は一部凍結保存するとともにパラフィン切片を作成し,組織学的に検索した.子宮内膜組織の接着率は,マウスあたり14/16(94%)であり,移植片あたり28/96(29%)であった.組織学的検索によっても内膜組織片の接着が証明された.
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