研究概要 |
子宮内膜症は生殖年齢女性のおよそ10%に発生し,疼痛と不妊を惹き起こしリプロダクティブヘルスを著しく損なう疾患として社会的にも問題となっている.私どもは,Interleikin-6(IL-6),IL-8,Tumor necrosis factor α(TNFα)等がサイトカインネットワークを形成し子宮内膜症の病態に関与することを初めて示唆した.本研究では,抗サイトカイン薬(抗TNFα抗体あるいは可溶性TNFα受容体)の子宮内膜症に対する効果についてマウス子宮内膜症モデルを作成して検討する. 本年度は,サイトカイン作用の基礎メカニズムを検討し,TNFαによるIL-6およびIL-8誘導作用が,転写因子NF一κBを介することを明らかにするため,子宮内膜症由来細胞におけるTNFαによるリン酸化IκBおよびTPCKによりブロックされるかどうかを検討した.卵巣チョコレート嚢胞から分離培養した子宮内膜症間質細胞を実験に用いた.Western blottingによりリン酸化IκBの発現を検討した.TNFαの添加により,5分から20分でリン酸化IκB発現が誘導された.TNFαによるNF-κBの活性化をGelshift assayにより検討した.TNFαにより活性化NF-κBが検出され,抗p50およびP65抗体によりNF-κB蛋白複合体のsupershiftが観察された.NRκB阻害剤であるTPCKの添加により,TNFαによって産生誘導されるIL-6およびIL-8蛋白発現が抑えられた.
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