研究分担者 |
園田 顕三 九州大学, 医学部・附属病院, 助手 (30294929)
福嶋 恒太郎 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (40304779)
藤田 拓司 九州大学, 医学部・附属病院, 助手 (40325460)
平川 俊夫 九州大学, 医学部・附属病院, 講師 (20218770)
小林 裕明 九州大学, 医学部・附属病院, 助手 (70260700)
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研究概要 |
1)皮系細胞の細胞間接着分子であるE-カドヘリンは,子宮内膜癌癌化過程で機能を消失する.その分子機構は,高分化型子宮内膜癌では,細胞膜に存在するE-カドヘリンおよびその細胞内骨格蛋白であるα-カテニンの発現の減少による低分化子宮内膜癌では,α-カテーンとIQGAP1によるE-カドヘリンの接着機能の制御不全による,ことが明らかとなった.したがって,本研究成果により,低分化子宮内膜癌ではE-カドヘリンの接着および脱接着が誘起されることで浸潤・転移能が亢進していると推測された. 2)CD9およびインテグリンα3β1は細胞間に存在し,細胞間接着機能を調節すると考えられている.本研究により,CD9およびインテグリンα3β1の発現低下は子宮内膜癌における分化度およびリンパ節転移と強く相関した.さらに,CD9の発現低下は臨床的予後因子として重要であることが明らかとなった. 以上より,子宮内膜癌癌化過程による浸潤・転移能の獲得には細胞間接着機能の消失が重要であることが明らかとなった. 3)皮系腺癌の一つである卵巣癌は,予後不良の悪性腫瘍の一つである.特に,進行卵巣癌の臨床的予後は化学療法の効果に依存する.しかし,臨床的予後と相関する分子については,十分解明されていない.そこで,進行卵巣癌症例において細胞間接着機能を反映するCD9およびCD151の発現変化と臨床的予後について解析した.その結果,化学療法が無効であった症例とCD9の発現消失とに強い相関を認めた病状の進行とCD151の発現消失とに強い相関を認めたCD151の発現変化は進行卵巣癌の臨床的予後因子となりうる.このことから,細胞間接着機能の消失は,薬剤耐性機構獲得に何らかの役割を果たしていることが推測された.
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