研究概要 |
胚由来の血小板活性化因子(PAF)の着床における役割を明らかにすることを目的として、子宮内膜間質細胞および脱落膜細胞の培養系においてPAFの接着因子への影響を検討した。子宮筋腫摘出時に採取された子宮内膜を細切後、0.25% collagenase処理し、遠心し、その後60μmメッシュを通過させて間質細胞を分離。また、初期妊娠や子宮外妊娠の子宮内容除去術時に採取された脱落膜を同様にcollagenase処理し、非連続的比重遠心法により脱落膜細胞を分離した。得られた間質細胞、および、脱落膜細胞を10% FCS加PRMIまたはIMDMの培養液で2×10^5cells/wellで培養した。Carbamyl-PAF(C-PAF)を子宮内膜または脱落膜細胞の培養系に添加し、その培養細胞のintegrin α1およびβ1を免疫組織学的に検討した。C-PAF刺激下の子宮内膜または脱落膜細胞培養上清中のfibronectinの産生量をELISA法で測定した。C-PAFによって誘導されたintegrinの発現およびfibronectinの産生に及ぼすPAF receptor antagonist (Y-24180, CV2086)の影響について検討した。C-PAFは、濃度依存性にintegrin α1およびβ1の発現およびfibronectinの産生を促進した。脱落膜細胞においては、子宮内膜間質細胞に比べて強い効果が認められた。C-PAFによるこれらの効果は、Y-24180,CV2086によって、ほぼ完全に失われた。これらの結果から、胚由来のPAFには、胚と子宮内膜および脱落膜との接着促進作用があることが示唆された。
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