本年度はWebサーバの構築・調整を行うとともに、インターネット上に公開する場合にすぐに対応できるよう、データベース作成とHTMLファイル作成を行った。現時点でホームページおよび、データベースへのリンクページなども完成した。Webデータベースシステムは、PHP言語により連携した。 また、初期の目的をすべて達成することは、時間的・予算的に困難な可能性が高くなり、社会的にも必要性が高いと思われるものから構築した。遺伝カウンセリングの基本データとして特に重要かつ不足している染色体異常が子供に不均衡型染色体異常を起こす確立を算出するページを立ち上げることにした。そのアルゴリズムを作成する目的で、複数の論文を検討したところ、推定される確立が方法によって大きく異なることが昨年度判明した。(日本遺伝カウンセリング学会講演、共同演者、池田敏郎:2003年)そこで複数の方法で推定された確立を表示するアルゴリズムを作成した。より正しい確立を1つ表示する方が有用であると考えるが、それらの方法による結果の差が数倍以上異なることから、本研究による最終的形態としては、複数の方法を列記し、遺伝カウンセラーの参考として使いうる形とした。データベースのユーザビリティは、現時点ではまだ低いが、今後も引き続き改善を続ける予定である。 また男性側に染色体異常がある場合、正常精子と染色体異常をもつ精子の比を検討し、児の異常率を推定することが可能であり、その準備を昨年度より開始した。このデータは、特に乏精子症で精子1細胞を卵子に受精させる場合には、そのまま正確な確立を示すことができる。実際的にはFISH法を用いて情報提供を行うことができるが、予算的に継続してサービスが提供できる見通しがつかないため、見通しがつくまでの間は他施設からの検査希望は受け付けないこととした。
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