研究課題/領域番号 |
13671738
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
森川 肇 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (30030894)
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研究分担者 |
阪本 義晴 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (40291611)
北中 孝司 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (10211195)
山崎 峰夫 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (00220301)
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キーワード | 血中総Mg / 血中イオン化Mg / 細胞内イオン化Mg / 妊娠 / 月経周期 / 卵胞ホルモン / 黄体ホルモン / 血小板 |
研究概要 |
血中総マグネシウム(Mg)濃度は、非妊女性卵胞期、黄体期および正常妊娠初期の間では有意差がなかったが、正常妊娠中期および末期では、妊娠初期の値に比べ有意に減少した。血中イオン化Mg濃度は、非妊女性卵胞期と黄体期で有意差はなかったが、正常妊娠初期の値は黄体期より有意に低く、正常妊娠中期および末期では初期よりもさらに低下した。血小板細胞内イオン化Mg濃度は、非妊女性では黄体期の方が卵胞期より有意に高く、正常妊娠初期の値はさらに高かったが、妊娠中期以降は有意の減少を示した。非妊女性においては血中イオン化Mg濃度と血小板細胞内イオン化Mg濃度との間に有意の負の相関がみられたが、妊娠女性ではこのような有意の相関性はなかった。血小板細胞内イオン化Mg濃度と性ステロイド血中濃度との相関性、ならびに健常男性より得た血小板を用いた添加実験の成績から、血小板細胞内イオン化Mg濃度に対して卵胞ホルモンが低下作用、黄体ホルモンが増加作用を示すことが判明した。血中イオン化Mg濃度の動態は、健常男性における既報の成績では正常範囲は狭く、生理的変動による影響を受けにくいことが示唆され、正常非妊女性でも月経周期による変動はなかった。しかし、今回の検討により細胞内イオン化Mg濃度は細胞の生理環境変化を鋭敏に反映して変動することがうかがわれた。つまり、非妊女性では黄体期になると血中に存在するイオン化Mgの一部が細胞内に移行し、細胞内Mg濃度が増加するという機序の働くことが推察される。一方、妊娠時は血中イオン化Mgにも変化がおよんだ。これは性ステロイドをはじめとする生理環境変化によるものと考えられるが、その結果、非妊時のような血中イオン化Mg濃度と細胞内イオン化Mg濃度との相関性が消失したものであろう。現在、妊娠時の血中イオン化Mgの減少は非妊時に対する相対的Mg欠乏状態を反映するものと考え、その実証を進めている。
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