研究概要 |
卵巣癌細胞株HRAにHGFのantagonistであるNK4をリン酸カルシウム法にて遺伝子導入し(HRA/NK4),導入株を用いたin vivoの検討から,NK4には癌細胞の遊走抑制作用と,腹膜播種抑制作用があることが確認された(Gene Ther 8:1450,2001)。NK4による腹膜播種制御を標的とした卵巣癌遺伝子治療を目指し,NK4発現ベクターにITR配列を付加し,AAV-NK4を作製した。 ヒトcDNAライブラリーからPTENcDNAをクローニングし,PTEN発現ベクターを作製し,卵巣癌細胞株HRAおよびSHIN-3に遺伝子導入した(PTEN/HRA, PTEN/SHIN-3)。PTENには細胞遊走を抑制する作用があることが確認された。またPTEN/SHIN-3において,塩酸イリノテカンに対する感受性が増強することが判明した。 漿液性腺癌細胞は明細胞腺癌に比べてTP高発現であり、TPの抑制剤であるTPI投与により血管新生の有意な抑制が観察された。また卵巣癌臨床検体での検討において,漿液性癌では明細胞癌に比べ,TPが有意に高発現を示すことが判明し,TPIを用いた血管新生抑制は漿液性癌に有用であることが示唆された。
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