自己末梢血幹細胞移植: peripheral blood stem cell transplantation(以下PBSCT)を併用した化学療法を補う新たな細胞治療プロトコールを確立するための基礎的な研究計画を立案した。自己末梢血幹細胞移植ではapheresisにより大量に採取した単核球のうち、造血幹細胞のみが使われているに過ぎない。この単核球分画に含まれる樹状細胞とT細胞をサイトカインと腫瘍抗原で刺激した後、体内に戻すことによって抗腫瘍効果を発揮できるかどうかin vitroでの解析を開始した。 本年度は進行卵巣癌患者の末梢単核球と腫瘍細胞(組織)を対象とした。まず、PBSCTを目的として採取した末梢単核球分画(1回平均採取単核球数は約2x10^<11>個)に含まれる樹状細胞およびT細胞の数の解析を行った。次に、手術時に得られた卵巣癌病巣(5人)の卵巣癌細胞クローンの樹立を試みたが、増殖が困難であったためT細胞が認識する抗原を得るために、cell bankに登録されていて、分譲が可能であった卵巣癌細胞を培養して、可溶性抗原分画の精製を行った。今後、この抗原と患者の樹状細胞とT細胞を混合培養し、誘導されたT細胞(CTLあるいはTh1タイプT細胞)の細胞障害活性を持つことを確認する。
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