1.子宮体癌に対するヒト型Mabの作製:Cross-bred TC mouseを子宮体癌由来培養株細胞SNG-Sで免疫し、常法によって得られたハイブリドーマの培養上清を用いてSNG-S細胞や子宮体癌組織に対する免疫組織化学染色を繰り返し、限界希釈法によって体癌細胞と反応するクローン(10-9D)を選別した。10-9Dは体癌の54.6%(53/97)に陽性反応を示し、高分化型体癌の61.6%、中等度分化型体癌の61.8%、低分化型体癌の31.8%が陽性であった。しかも、正常子宮内膜組織および各種全身臓器の正常組織や癌組織に対してはほとんど反応を認めなかった。 2.作製された10-9D Mabの認識抗原の生化学的解析:子宮体癌組織に対する10-9Dの免疫組織化学的染色態度は、組織切片の過沃素酸処理によってその反応性が減弱し、westernblotではSNG-Sの膜分画に対して90kDa付近と180kDa付近にバンドを認めた。さらにその反応性はシアリダーゼやN-グリコシダーゼ処理にて変化は見られず、O-グリカン合成を阻害するbenzyl GalNAcを添加して培養したSNG-S細胞との反応性は減弱した。以上の結果より、10-9Dの認識抗原は、シアル酸を含まないO-グリカン構造を有する細胞膜上の糖蛋白質であることが判明した。 今回の研究より、新たに作製した10-9D Mabが子宮体癌に高い特異性を有するヒト型abで、その認識抗原が細胞膜上の糖蛋白質であることが明らかになったことから、10-9D Mabが子宮体癌のミサイル療法に利用可能であることが判明した。
|