研究概要 |
1)子宮体癌およびその前癌病変である子宮内膜異型増殖症におけるezrinの発現とその局在:ヒト手術検体を用いた免疫組織学およびWestern blot法の解析により、(1)ezrin蛋白の発現は、正常内膜に比べて子宮体癌およびその前癌病変である子宮内膜異型増殖症で増加し、また癌組織では原発巣より転移巣で増加した、(2)子宮内膜異型増殖症や子宮体癌原発巣ではezrinは細胞質に局在していたが、転移巣では細胞膜に一部局在することが認められ、ezrinの発現や細胞内局在の変化が子宮体癌の発生や進展に関与することを報告した(K. Ohtani, et al. Cancer letter, in press)。Ezrinのtranslocationが転移能に関与することは、卵巣癌組織や培養細胞においても認められ報告した(Z. Chen, et al. Cancer, 2001)。さらに子宮体癌転移巣においては、RhoファミリーのRhoAは細胞膜に発現が認められ、またezrinとのcolocalizationが観察され、ezrinのtranslocationに関与する可能性があった。 2)低転移性Ishikawa細胞とそのsub-cloneである高転移性mEIIL細胞を用いてezrinとRhoAの発現および局在を検討したところ、Ishikawa細胞に比べてmEIIL細胞では、ezrinとRhoAの細胞膜におけるcolocalizationが認められ、EGF添加によりmembrane rufflingやmicrospikesが著明に形成された部位においてより強く認められ、RhoAがezrinのtranslocationとその機能に関与する可能性が示唆された。
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