研究課題/領域番号 |
13671767
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高井 禎成 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (50345211)
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研究分担者 |
岩崎 真一 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (10359606)
竹内 直信 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40280945)
朝蔭 孝宏 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50361481)
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キーワード | 電気刺激 / 前庭神経 / 球形嚢 / 神経生理学 / 誘発電位 / VEMP / 耳石器 |
研究概要 |
前年度に引き続き、短持続電気刺激を頭蓋外からあたえたときの前庭神経の反応について、モルモットにおける電気生理学的研究とヒトにおける誘発筋電位による臨床神経生理学的研究を行った。前年度までで確立された方法を用い、すなわち、モルモットにおいては、中耳腔と前頭部間に電気刺激を与えた、また、ヒトにおいては乳突部-前頭部間を電気刺激し、胸鎖乳突筋における誘発筋電位を記録した。前年度までの結果とあわせて、頭蓋外からの短持続電気刺激は、前庭神経を刺激し得ることが明らかになった。すなわち、モルモットにおいては、頭蓋外からの短持続電気刺激に対して、短い潜時で応じる前庭神経ニューロンの存在することが認められた。また、ヒトにおいて、乳突部-前頭部間を電気刺激し、胸鎖乳突筋における誘発筋電位を記録すると、潜時10-20msecで2相性の反応が記録された(p33g-n23g)。健常成人における反応閾値は2.5mAであった。最適の刺激頻度は5Hzと考えられた。さらに、前庭機能障害症例における検討を行った結果からは、臨床検査としても応用可能なことが明らかとなった。すなわち、末梢前庭障害のうち神経障害(聴神経腫瘍など)では、電気刺激に対し無反応であるが、受容器障害(メニエール病など)では、電気刺激に対して反応のあることが明らかになった。短持続頭蓋外電気刺激法と従来から用いられている音響刺激法を併用して、末梢前庭障害を神経障害と受容器障害に分類することが可能となった。この方法を前庭神経炎症例に応用したところ、臨床的な前庭神経炎のうち、70%は、神経障害であるが、30%は、受容器障害であることが示唆された。
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