研究課題/領域番号 |
13671776
|
研究機関 | 福井医科大学 |
研究代表者 |
斎藤 武久 福井医科大学, 医学部, 助教授 (10139769)
|
研究分担者 |
都築 秀明 福井医科大学, 医学部, 助手 (90236927)
柴森 良之 福井医科大学, 医学部・付属病院, 助手 (10303380)
|
キーワード | P-糖蛋白 / MRP1 / 血液・内耳関門 / RT-PCR / 免疫組織化学 |
研究概要 |
今年度の研究として、内耳におけるMRP1発現の証明と局在部位の決定を行った。 ラットの内耳組織から採取されたRNAからcDNAを作成した後、ラットのmrp1遺伝子のspecific primerを用いたPCRによって増幅し、得られたPCR産物を電気泳動で分離して394bpのバンドを確認した。さらにPCR産物の塩基配列をDNAシークエンサーで確認することにより、内耳にMRP1が発現していることを証明した。 次いで、ラット抗MRPモノクローナル抗体(MRPr1)を用い、ラットの脳、内耳の凍結切片を免疫組織染色することによって、脳と内耳におけるMRP1の局在部位を確認した。MRP1は脳では脈絡叢上皮細胞の基底側に発現していた。蝸牛では血管条辺縁細胞や基底細胞の基底側あるいは辺縁部に、前庭や内リンパ嚢においても上皮細胞の基底側あるいは辺縁部に発現していることが確認された。 MRP1の局在部位とmdrla p-糖蛋白の局在部位の比較を内耳で行うと、p-糖蛋白はすでに報告したように内耳毛細血管内皮細胞の血管腔側に発現していることから、これら2種類のポンプは互いに共役しながら薬剤を組織外に排出していることが予想された。すなわち、内リンパ液内に取り込まれた薬剤は、濃度勾配によって蝸牛血管条や前庭、内リンパ嚢の上皮系細胞内に入り、細胞基底部に発現するMRP1によって細胞外に排出され、さらに上皮下に分布する毛細血管の内皮細胞表面(管腔側)に発現するp-糖蛋白によって毛細血管内に排出されると考えられる。
|