重力負荷に際しての、肉耳での水チャネル発現量の変化をreal time PCR法を用いて検討した。ラットを重力負荷装置内に置き、回転刺激にて2G負荷を加えた。重力負荷後、12時間、1日、3日目、7日目で、それぞれの動物を深麻酔下に断頭した。内耳蝸牛および内リンパ嚢よりmRNAを拙出した後、real time PCR法により水チャネルmRNAの発現量を重力負荷前と比較検討した。これに先立って、蝸牛および内リンパ嚢に発現する水チャネルについても検討を行ったところ、動物1匹よりreal time PCR法にて解析が可能な発現量が確認できたのは水チャネルAQP1とAQP3の二つであった。 2G負荷を12時間〜7日間加えた動物の、蝸牛および内リンパ嚢における水チャネルAQP1とAQP3の発現量は、今回解析を行った全てのサンプルについて、統計学的に有意な変化は認められなかった。重力負荷前に発現が認められない、あるいは発現量が検出感度以下の水チャネルに重力負荷によりup-regulationが起る可能性については、さらなる検討を要する。また、同様の重力変化に対する、内耳カリウムチャネルの発現量についても現在解析中である。
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