研究課題/領域番号 |
13671789
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研究機関 | 宮崎医科大学 |
研究代表者 |
君付 隆 宮崎医科大学, 医学部, 講師 (50240908)
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研究分担者 |
坪井 康浩 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (70284841)
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キーワード | 蝸牛 / 内有毛細胞 / 膜電気容量 / エンドサイトーシス / エクソサイトーシス / イオンチャネル / カリウム電流 / 周波数分別能 |
研究概要 |
昨年度発見された一過性内向き電流をブロックする条件(DHSM投与)にて、本年度は、モルモット蝸牛より単離した内有毛細胞の膜電気容量を測定し、エンドサイトーシス、エクソサイトーシス動態を観察する予定であった。実験回路を整えて測定を試みたが、膜電位を静止膜電位(-80mV)より脱分極電位(+20mV)へとパルス状に変化させると、膜コンダクタンス、膜電気容量の変化の細胞間でのバラツキが大きく、一定の結果が得られなかった。その原因を考察するに、内有毛細胞を単離する際に、細胞内環境が一定しないことが考えられた。特にカルシウムイオンは変化を受けやすいため、細胞内カルシウムによる膜イオン電流の変化(コンダクタンス変化)を検討する必要があった。今回用いたのは、カルシウムイオンのストアサイトへの再取り込みを抑制することにより細胞質内カルシウムイオン濃度を増加させるcyclopiazaonic acid(CPA)である。CPAを細胞外から投与することにより膜イオン電流増加、減少の両者の反応があった。これを蝸牛回転別にみると基底回転の内有毛細胞で増加、頂回転で減少する傾向があり、基底回転の有毛細胞にCa-activated K電流が多いことが示唆され、音の周波数分別能の機序と関わりが大きいことが考えられた。 本プロジェクトでは、蝸牛有毛細胞シナプス機構を解明するまでには至らなかったが、これまでほとんど報告のなかった内有毛細胞の膜イオンチャネルに対して、新知見をいくつか得ることができた。最近、膜電気容量測定の可能なパッチクランプアンプの新機種が販売されたため、今後はこの新機種を用いて本プロジェクトの遂行ができるように計画したい。
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