研究概要 |
P53遺伝子はadenovirusをvectorとする系を用いていたが、wild typeのP53遺伝子をもつ細胞を検討材料としたためMOIが高く、現在electroporation法で実験を継続中である。 マウス口腔癌由来のNR-S1細胞を用いてHelpes simplex virusをvectorとするmIL-12 geneを作製した。NR-SI細胞をC3Hマウスに移植し、腫瘍局所への直接のmIL-12遺伝子を注入し抗腫瘍性を観察するとともに、化学療法剤UFTまたCDDPとの併用でcomplete responseを認めた。その機序としてapoptosisの誘導、血管新生抑制と局所にCD8+,CD56+細胞の集積を認め、またUFTやCDDP投与による免疫抑制をIL-12遺伝子治療が解除し、化学療法剤との併用効果が出現したと考えられた。さらにIL-12遺伝子治療を受けた群の脾細胞を用いてELISPOTで検索した結果、IFN-γ陽性細胞が増加し、全身的にも遺伝子治療でTh_1優位であることが判明した。以上よりIL-12遺伝子治療は局所、全身の免疫能の亢進のみならず、腫瘍のapoptosis亢進、さらには腫瘍血管新生の抑制によって抗腫瘍性を示すことが明らかとなった。
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