研究概要 |
頭頚部癌の癌化に関わる遺伝子不安定性(microsatellite instability : MSI)の頻度と臨床病理学的因子との関連を明らかにすることを目的として実験をおこなった.また癌化に関わる因子として癌抑制遺伝子のプロモーター領域のDNAメチル化を指標としてp16遺伝子の不活性化を検討した. 1)研究材料 本学付属病院で検査,治療を受けた頭頚部癌患者から採取した癌組織と末梢血リンパ球を用いた. 2)研究方法 頭頚部癌組織から腫瘍DNAを抽出した.同時に末梢血リンパ球からもコントロールとして正常DNAを抽出した.特定の染色体領域のPCR primerを購入し,ラジオアイソトープでラベルし,マイクロサテライト解析で遺伝子異常(MSI)を調べた. 腫瘍DNAのメチル化の有無をmethylation specific PCR法で調べた. 3)結果 MSIは約20%に認められた.MSIと臨床病理学的因子との関連は明らかでなかった. p16癌抑制遺伝子のDNAメチル化は約40%に認められ,頭頚部癌の癌化と密接な関連が見出された. 重複癌,多重癌との関連について検討をおこなったが,明らかな関連は認めなかった.Field cancerizationについての検討を引き続きおこなうこととした. 以上の結果は平成13年12月の日本耳鼻咽喉科学会神奈川県地方部会,14年5月の日本耳鼻咽喉科学会総会,14年5月の日本耳鼻咽喉科学会,6月の日本頭頚部腫瘍学会,10月の日本癌学会で発表した.またThe Tokai Journal of Experimental and Clihical Medicineに掲載予定である.
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