研究概要 |
眼科領域の腫瘍は診断、治療が困難であり、生命にも関わる重大な疾患である。本研究では眼科領域腫瘍の診断、治療の戦略決定システムの構築を目ざす。 腫瘍診断に関しては、眼窩腫瘍画像診断の3次元画像化を簡易的に行う方法を検討して、実用化の可能性が得られた。病態研究と治療については、本年度ではまず、第一歩として眼科領域腫瘍の増殖制御因子であるtransforming growth factor-β(TGF-β)シグナル伝達の異常の有無を調べた。過去に山形大学医学部眼科で治療された腫瘍のパラフィン切片20症例を対象として、シグナルに関連する分子;TGF-βI型受容体、II型受容体、Smad2,3,4の発現を組織化学的に検討した。悪性度が高い腫瘍ではsmad2,3,4の発現異常が多く見られた。また、遺伝子異常の検索を行ったところ孤立性線維腫(solitary fibromatous tumor)の1例でTGF-βII型受容体の遺伝子異常が示唆された。眼科領域の腫瘍におけるTGF-βシグナル伝達分子の遺伝子異常は他部の腫瘍に比較して低率であった。腫瘍の治療として血管新生制御がトピックとなっている。本研究では限内における血管新生制御因子の発現を検討した。眼内血管新生に網膜組織の虚血が関与していることが示唆された。には血管新生促進因子(VEGF,IL-6,THF-αなど)、血管新生抑制因子(endostatin,activin Aなど)が発現しており、そのバランスが血管新生決定に重要な働きをしていることが示唆された。
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