研究概要 |
これまでに我々は,角膜前面および眼球全体に起因する高次波面収差や不正乱視を定量化する方法を確立し,種々の疾患,病態,手術方法に応用し,眼球光学系の質を定量的に解析するとともに,視機能との関連を明らかにしてきた. 2003年度に論文として発表したデータは下記のごとくである. Laser in situ keratomileusis (LASIK)による角膜前方偏位を,スリットスキャン型角膜形状解析の術後マップだけで評価することは誤りで,術前後の差分マップを使用する必要があることを明らかにした(Ophthalmology 2003;110:1926-1930).スリットスキャン型の角膜形状解析装置を用い,エキシマレーザー屈折矯正手術の角膜の前方偏位を定量的に測定し,その時間経過を明らかにするとともに,前方偏位量に影響を与える因子を解析した(Semin Ophthalmol 2003;18:17-22).スリットスキャン型角膜形状解析装置と,超音波各角膜厚測定装置,ノンコンタクト型スペキュラーの,角膜厚測定結果を比較し,それぞれの相関および値のばらつきについて解析した(J Cataract Refract Surg 2003;29:1313-1318).LASIKの術中穿孔により角膜強度は著しく減弱し,角膜の前方偏位,不正乱視の発生が生じて視力障害に至ることを報告した(J Cataract Refract Surg 2003;29:1638-1640).角膜形状のフーリエ解析によってペルーシド角膜変性症の経年的な進行を定量化できることを報告した(Jpn J Ophthalmol 2003;47:523-525).核白内障によりコマ収差が増加し,単眼における三重視が発生することがあることを報告した(Am J Ophthalmol 2004;137:361-363).
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