前部視路障害に対するラット視神経投射の変化と機能的可塑性の関連

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13671827
• 研究機関: 東京医科歯科大学
• 研究代表者: 清澤 源弘 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (20169957)
• 研究分担者: 森 浩士 東京医科歯科大学, 医学部・附属病院, 助手 (50302849)
• キーワード: Adenosine A1 / Bengodiagepine / neceptor / rat / brain / enucleation / lid suture / glucose metabolism

研究概要

目的:生後10日の感受性期ラットの片眼摘出と片眼眼瞼縫合とが脳視覚関連領域に及ぼす影響を見るため、神経受容体密度と脳局所糖代謝量を測定した。方法:感受性期ラットに片眼摘出ないし片眼眼瞼縫合を行ない、adenosineA_1(AA_1-R)とbenzodiazepine受容体(BDZ-R)の各密度と脳糖代謝をby ex vivo autoradiograpmで評価した。AA_1-R、BDZ-R、糖代謝の各リガンドには[^<11>C]MPDX、[^<11C>flumazenil、[^<14>C]2-deoxyglucoseを用い、^<11>Cないし^<14>Cの特異的結合を上丘、外側膝状体、視覚領皮質で求めた。結果:眼球摘出によって上丘と外側膝状体のAA_1-Rが減少した。そして上丘のBDZ-Rは増加した。しかし、視覚領皮質のBDZ-R密度は変わらなかった。瞼裂縫合の20日後に視覚領のBDZ-R密度は増加したが、糖代謝は術後1日の上丘と外側膝状体以外では減少しなかった。そして、上丘では20日と55日、視覚領皮質では眼瞼縫合の術後55日で糖代謝が減少した。結論:上丘と外側膝状体での節前性シナプスマーカーであるAA_1受容体の減少は、節後性のbenzodiazepine受容体の増加にカップルしている。その両者は視覚情報遮断に反応するが、幼弱なラットでは糖代謝は眼球摘出でもほとんど変化しない。これは幼弱ラットでは視覚入力が視覚関連領域を充分には活性化していない事を示す。経験に依存したシナプスの成長が不完全なため眼瞼縫合でもに糖代謝の減少は鈍い。生後10日ではラットの視路は未だ完成されておらず、障害への反応も成長してからの反応とは全く異なったものである。

研究成果

• [文献書誌] Kiyosawa M, Ishiwata K, et al.: "Neuroreceptor bindings and synaptic activity in vusual system of monocularly enucleated rat"Jpn J Ophthalmol. 45. 264-269 (2001)
• [文献書誌] Devolder A, Kiyosawa M, et al.: "Auditory triggered mental imagery of shape involves visual association areas in early blind humans"Neuroimaging. 14. 129-139 (2001)
• [文献書誌] Suzuki Y, Kiyosawa M, et al.: "Cortical blindness following cordiac surgery"Jpn J Ophthalmol. 45. 547-549 (2001)
• [文献書誌] Pang JJ, Kiyosawa K, et al.: "Clinicopathological report of retinitis pigmentosa with vitamin E deficiency caused by mutation of α-tocophenol-"Jpn J Ophthalmol. 45. 672-676 (2001)
• [文献書誌] Mori H, Kiyosawa M, et al.: "Application of visual evoked potentials for preoperative estimation of dense cataract"Vongraefe's Arch of Clin ando Exp Ophthalmol. 239. 915-922 (2001)
• [文献書誌] 根本伸之, 清澤源弘, 他: "黄斑変性における疑似ランダム系列刺激に対する視覚誘発電位"日眼会誌. 105. 326-332 (2001)
• [文献書誌] 清澤源弘: "神経節疾患のとらえ方"文光堂. 80-91 (2001)