目的:眼球摘出または眼瞼縫合によって片側の視覚入力を生後10日で遮断されたラットのアデノシンA1とベンゾジアゼピン受容体の密度それにグルコース代謝を見る。方法:生後10日に、片側の眼球摘出または眼瞼縫合によっておこるアデノシンA1とベンゾジアゼピン受容体の密度それにグルコース代謝を上丘、外側膝状体および視覚領皮質でそれぞれ[11C]MPDX[11C]フルマゼニルおよび「14C」2-デオキシグルコースを標識薬剤としてオートラジオグラムで測定する。結果:眼球摘出では[11C]MPDXの上丘と外側膝状体の結合は減少し、[11C]フルマゼニル野上丘での結合が増加した。眼瞼縫合では[11C]フルマゼニル結合が20日後に減少した。「14C」2-デオキシグルコースの取込みは眼球摘出では1日めの上丘と外側膝状体以外にはどこでも減少せず、眼瞼縫合では処置後20日および55日の上丘と諸ちご55日の視覚領皮質で減少した。結論:眼球摘出後の説前性のアデノシンA1受容体の上丘と外側膝状体での減少は節後性のベンゾジアゼピン受容体の密度の反応性増加(upregulation)と関連している。視覚機能を支える神経構造の成長は生後10日では完成していない。眼球摘出に対する神経の反応は眼瞼縫合に対する反応とは全く違ったものであった。
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