網膜電図(以下ERG)測定装置の検証(刺激輝度の精密な測光、刺激時間の調整など)を行い、ERG解析をするのに充分な測定環境を整えた。次に正常被験者30人のERG測定を行い、従来のa波、b波、OP波の振幅・頂点潜時、杆体および錐体モデルのパラメーター(S、td、Rmp3)の平均値と標準偏差を計算し、当科における正常値を決定した。網膜色素変性症、錐体ジストロフィー、先天網膜分離症、小口病などの患者眼ERGを測定レ患者眼における測定値を解析し、眼底所見、視野などの結果も合わせて、網膜機能の評価を現在検討中である。同意の得られた患者からは血液サンプルを採取し、弘前大学眼科中沢満教授のもとへ送り、疾患の原因遺伝子の解析も試みてもらっている。当科の先天性網膜分離症家系の遺伝子解析結果はERG所見と合わせ発表した(Japanese Journal of Ophthalmology、印刷中)。クリスタリン網膜症3例の杆体および錐体ERG所見を発表した(American Journal of Ophthalmology、2001)。Enhanced S-cone syndromeの眼底所見をERG所見と合わせて発表した(第49回日本臨床視覚電気生理学会、平成13年11月)。第106回日本眼科学会総会(平成14年5月)にSupernormal and delayed rod b-wave ERG syndromeのP3とderived P2の解析結果を発表予定である。また研究調査・打ち合わせのため、平成13年7月にドイツ・チュービンゲン大学を、平成14年2月に名古屋大学眼科学教室、九州大学神経生理学教室を訪問した。
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