研究課題/領域番号 |
13671832
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
桐生 純一 京都大学, 医学研究科, 講師 (80281096)
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研究分担者 |
高木 均 京都大学, 医学研究科, 講師 (70283596)
柏井 聡 京都大学, 医学研究科, 助教授 (50194717)
本田 孔士 京都大学, 医学研究科, 教授 (90026930)
西脇 弘一 京都大学, 医学研究科, 助手 (90303841)
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キーワード | 糖尿病 / 網膜 / 白血球 |
研究概要 |
糖尿病モデルの網膜において、接着分子ICAM-1の発現の亢進と共に白血球の網膜微小循環における集積、白血球の血管内皮への接着が増加していた。それと同時に、網膜における蛋白の漏出も亢進しており、血液網膜関門の破綻が示された。逆に接着分子の発現や白血球の集積・接着を抑制すると、網膜中への蛋白漏出も抑制された。このことから、糖尿病網膜における血液網膜関門の破綻の原因には、集積した白血球が重要な役割をしているということが示唆された。 ぶどう膜炎モデルや虚血再灌流モデルを用いた実験において、アンチトロンビンIIIや、ヒスタミンH1レセプター阻害剤によって、接着分子の発現の抑制、そして白血球と血管内皮の相互作用の抑制といった効果が得られる事がわかった。虚血再灌流モデルにおいては組織障害も抑制されていた。このことから、糖尿病網膜症のみならず、ぶどう膜炎や網膜血管閉塞性疾患の治療においても、アンチトロンビンIIIや、ヒスタミンH1レセプター阻害剤といった薬剤が有効である可能性が示された。 前増殖段階の糖尿病網膜症の重要な治療法の一つに網膜光凝固がある。網膜光凝固においては、黄斑浮腫などの合併症の発生が問題となることがある。網膜光凝固のモデルにおいて、白血球のローリングや集積といった血管内皮との相互作用と共に、網膜への蛋白漏出が亢進していることが明らかとなった。網膜浮腫など網膜光凝固の合併症に対する治療法の開発に有用な結果であると思われた。
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