研究概要 |
これまで角結膜上皮が表現するムチンについてはMUC1,MUC4さらには結膜杯細胞が産生するMUC5が知られている。角結膜上皮が表現する膜貫通性ムチンの中には涙液を保持する機能を持つムチンが存在するとされるが、角結膜上皮での表現が認められているMUC1,MUC4について、ノックアウトマウスなどの検討からそれ以外のムチンがその主たる機能を持つと考えられているが依然未解明である。今回、新たに存在が認められたMUC16について検討した。角膜上皮から採出したRNAからreal-time PCR on reverse transcriptionを用いてMUC16遺伝子の発現について検討したところ、MUC16ムチンはヒト眼表面上皮および培養した角膜上皮細胞でもその発現がみられた。その発現部位を明らかにするため、in situ hybridizationおよび免疫組織化学法にて検討した。MUC16タンパクは角膜上皮の最表層の上皮で表現されていた。免疫組織学的にはその発現部位とH185抗体が認識される部位と一致していた。H185抗体で認識されるタンパクはMUC16で認識され、MUC16で認識されるH185抗体でも認識された。一方MUC1で認識されるタンパクはMUC16にもH185抗体にも認識されなかった。これらよりMUC16は角結膜上皮で表現されており、そのタンパクはH185抗体で認識されるタンパクと一致し、MUC16はH185が認識する糖鎖である可能性が高いことが明らかになった。
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