研究概要 |
1.ガレクチン3を用いた視細胞変性抑制研究:ラクトースカラムに結合しうるリコンビナントガレクチン3を、大腸菌に産生させる研究を進めているが、未だ成功に至っておらず、平成14年度にさらに継続していく方針である。 2.将来の視細胞移植に向けた基礎的研究:ヒトMLGAPC(視細胞関連ムチン様糖蛋白)コア蛋白のcDNAを導入した網膜芽細胞腫Y79培養細胞(平成12年度に樹立)に、培養細胞自身の糖転移酵素を利用させて糖鎖を有するMLGAPCを産生させることに成功した。レクチンプロット法を用いてその糖鎖構造を解析したところ、シアル酸を糖鎖末端に有するMLGAPCだけが産生されていることが明らかになり、網膜芽細胞腫の悪性形質の発現にシアル酸が関与している可能性が示唆された。平成14年3月現在、さらにヒトMLGAPCコア蛋白のcDNAを導入した網膜芽細胞腫Y79培養細胞を、他の細胞外成分と相互作用させることによって分化させる研究を継続している。一方、錐体視細胞が優位に存在するリス網膜と生後早期のラット網膜に分布するMLGAPCを解析したところ、シアル酸を糖鎖末端にもたない型が優位に存在することが判明し、これが錐体型に対応することを証明した。 3.シアル酸転移酵素、フコース転移酵素のcDNA分離と発現分布の解析研究:ヒトα2,3、及びα2,6シアル酸転移酵素のcDNAを、既知の塩基配列からデザインしたプライマーを用いたPCRによって、それぞれ分離することに成功した。さらにこれらのcDNAをpMALC2およびpGSTの蛋白発現ベクターに組み込んで、リコンビナントシアル酸転移酵素蛋白を合成することに成功した。平成14年3月現在、これらの蛋白を家兎に免疫して作成した抗血清を、アフィニティ精製して抗体を作成しつつあり、平成14年度にこれらの抗体を用いた免疫組織化学的研究を進める予定でいる。
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